渇き。を見ました
映画「渇き。」
小松菜奈、二階堂ふみ、橋本愛、という個人的に今すきな若手女優のスリートップが三人とも出演するということでかなり前から楽しみにしていました。
【HD】 石井杏奈 小松菜奈 ドコモdビデオ「転校生」篇 CM15秒 - YouTube
この制服のリボンをゆるめる手つきと醸す雰囲気に心をぶち抜かれてから圧倒されてから注目していた小松さん。
役柄的にもその魅力を存分に見せてくれるだろうと本当に楽しみにしていたんですが、中島ワールドで「結構グロい」とのことで、大きなスクリーンで見たら辛そうなのでDVD化されるのを待とうかな…と思っていたところ、友人から安くなるチケット手に入ったから行こうよーと誘われたので映画館で見ることに。
………始めたばかりのブログで、いきなりこんな批判的なことを書きたくはなかったのですが……
渇き。は最悪のキチガイグロ映画でした。最悪。
ただ血が苦手だから、血が出まくってるから、グロすぎる、人が死にすぎ、みんな狂いすぎだから…というわけじゃない。
もちろんそれも大変不快でした。
けど、 血がどばだば人死にすぎエンタテイメントいえば『地獄でなぜ悪い』は面白かった。
渇き。はとにかく腑に落ちない。
理由が描かれない。から入り込めない。
これを映画でやる意味はなんなのか、とつい考えてしまった。
たしかに、テレビでは流すことができないような映像だし、大きなお金を動かすためってこともあるだろうし、映画という手段を使わざるを得ないのだろうけど。
それにしてもひどくないか。
映画ってなんなのだろう。と思う。
渇き。は魅力的で豪華な俳優陣、の無駄使い。
映画館も三連休かつ夏休みのはじまりということもあり、ほとんど席が埋まっていました。商業的にはヒットしているのでしょう。
これが商業エンタテイメントとして大衆に受けている、ということに悲しさを覚えました。
映画は「衝撃」を享楽的に楽しむだけのエンタテイメントでいいのかな。
yahoo映画等のレビューを見ると、☆1つか5つか、いう両極端な評価をされていましたが…「合う合わない」「人それぞれ」だけじゃないと思う。
映画とはなんなのか。映画をどう楽しむのか。
そんなことをつい考える。
(大事なことなので二度…)
「とんでもないキチガイグロ映像が見たい」ってだけのひとにとったら、面白いのだろうか。
それって映画なの…?
筋書きに対して、こうだからこうなるという理由というか、肉付けがあまりにも足りない。
ひたすら血まみれとバイオレンス。ほっとした瞬間に、突然大音量の破壊音と共に暴力グロシーンで観客を何度もびくつかせる。嫌い。
これが中島ワールドなので!!で済ませていいの?と思わせるカメラワーク。ごちゃごちゃぐるぐる。
カオスを描きたいのは分かるが、バイオレンスのグロさだけではなく、見せ方で具合が悪くなってくるので、ほんとうに画面を見ていられなかった。
誘ってくれた友人に悪いなと思ったので席を立たなかったけれど、何度席を立とうと思ったことか。
映画館で映画を見ていて、あんなに席を立つ人がいる映画なんて見たことがない。
「中島ワールド」の時系列のごっちゃ具合もさらに困惑させる。
これはこれであり、でいいの?
「わが子のために狂った親たち」「親子関係の希薄が生む狂気」がキーだったのだろう。けど。
頭の中がはてなでいっぱい。なんでそうなる?なんで?なぜそこまで?
映画の中でキーとなっていたはずのオダギリジョー演じる刑事、彼がなぜああなったのかは映画の中では描かれない。
「?」は9割9部解消されないまま、おわり。
告白もひい〜気持ち悪い…と思うシーンもあったけれど、こんなにひどくはなかったし、そこまで悪い映画だという印象もない。なぜ渇きはこんなにひどくなってしまったのか……
衝撃的な映像を衝撃的な方法でただ垂れ流しにするというひどい映画でした。
フォローするとすれば、『風立ちぬ』のときだったと思うけれど、様々な映画評が飛び交う中で「なにかを語りたくなる映画は良い映画」という意見があって「確かに!」と思いました。
「最悪だった」ということを「語らずにはいられない」映画であることは間違いない。
おすすめしません。この映画にお金と時間使うなら、もっと見るべき良い「映画」はたくさんある。
ただ、音楽はセンスが良いんだよな〜〜〜。
音楽的ネタバレをすると、終盤のsweet memoriesと、Everybody Loves Somebodyはここでこの曲〜〜〜!!!という、なんというか、なんというか。
音楽プロデューサーの選曲だと思うので、金橋さんは中島映画の唯一の良心です。
Dean Martin "Everybody Loves Somebody" - YouTube
ライムスター宇多丸さんのラジオの中の「シネマハスラー」というコーナーに最近はまっている。
わたしがすきな映画をこれでもか!!というくらい褒めていたのがきっかけで。
感動を覚えるほど話が上手いし、映画好きの映画の見方について知れるし、視点の豊富さに驚く。
この人の映画評は信頼できると思っています。
そうそれー!!そうなんだよーー!!ってのと、ほう…そう見るとそうか…確かに…そうだなぁ…みたいのが、聞いていて抜群に面白い。
もちろん「面白かった!」と思った映画を、かなり酷評されて「お、おおぉ」ってなった回もあるけれど、映画をすこーし、ほんのほんのほんのほんのほんのすこーしだけきちんと見られるようになってきたところなので、尚更面白く感じるのですな。
来週のシネマハスラーは今作らしいので、どう評価するのか、とても気になっています。
ぶった斬りを期待して。